
LIXILの工場見学に参加しました|設備設計の視点で学んだこと

2026年7月2日、株式会社LIXIL主催の見学会「プレミアプレゼン2026」に参加し、愛知県常滑市にある榎戸(えのきど)工場とINAXライブミュージアムを見学してきました。
常滑市は、INAXブランドが生まれた土地でもあります。
私たちは普段、図面の上で機器や配管を選び、納まりを検討しています。ただ、その機器がどのようにつくられているのかを見る機会は、そう多くありません。
実際の製造現場を知っておくことは、設計の判断にも役立つと考え、今回の見学に参加しました。
この記事は、LIXILさんの公式な説明ではなく、私たちが見学の中で感じたことをまとめたものです。ものづくりの現場の様子や、設備設計の立場から考えたことをそのままご紹介します。
榎戸工場|巨大な窯と熟練職人の五感
工場の奥へ進むと、天然ガスで稼働する巨大な窯が目を引きます。高温の窯で製品を焼き固めるそうです。
そのすぐそばでは、最新の産業ロボットが緻密な動きを見せていました。
全自動化が進む一方で、形を微調整したり、不具合を見つけ出したりする最後の砦は、熟練職人の目、耳、手の感覚といった「五感」です。ハイテクと手仕事の融合に、品質へのこだわりを実感しました。
展示エリアには、普段は見られないユニークなトイレも並んでいました。スワロフスキーのデコトイレには、職人が一粒ずつ手作業で貼り付けたクリスタルが7万2千個並んでいます。
黄金のトイレも展示されており、いずれも非売品とのことです。量産の現場と職人技を極めた展示の両方を見られることも、この工場の印象に残った点でした。

INAXライブミュージアム|土管からタイル、そして衛生陶器へ
工場を見学したあとは、近くのINAXライブミュージアムへ移動しました。土とやきものをテーマにした施設で、2025年には日本のトイレの文化を紹介する「トイレの文化館」も開かれています。
ここで印象に残ったのは、製品が移り変わってきた道すじです。明治時代に下水道を支える「土管」の量産から始まり、大正時代には帝国ホテルの建築への参画をきっかけに、装飾用の「タイル」へと技術を発展。
戦後はその焼き物技術を「トイレ(衛生陶器)」へ応用し、現在の温水洗浄便座へとつながっていったそうです。時代の需要に合わせて製品を変化させてきた、ものづくりの歩みを知ることができました。

館内には、かつての建物から移設された本物の外壁タイルや装飾がそのまま並んでおり、当時の質感を間近で見ることができます。

敷地内の「窯のある広場・資料館」には、高さ22メートルの大煙突と大正時代の土管工場の窯が保存され、当時のものづくりの熱気を今に伝えていました。

また、海外のホテルでよく見かける「アメリカンスタンダード」が、LIXILのグローバルブランドの一つであることも知りました。
LIXILの公式サイトによると、米国のAmerican Standard Brandsは2013年にLIXILの子会社となっています。
旅先で目にしていたブランドがLIXILの世界での事業につながっていると知り、その広がりを実感しました。
設備設計の視点で考えたこと
見学を通して、設備設計の仕事で大切にしたいとあらためて感じたのは、製品の成り立ちを知ったうえで選ぶという視点です。
衛生陶器は、巨大な窯を使用し、高温で長時間かけて焼き固められます。自動化された工程のそばでは、熟練職人が目や手の感覚を使い、一つひとつの形を微調整していました。
完成した製品だけを見ていると気づきにくいものですが、カタログに並ぶ寸法や仕様の背景には、素材の性質と長い製造工程、職人の技術があります。つくられる過程を知ることで、カタログの数字も違って見えてきました。
設備設計では、建物の用途や使い方に合わせて機器を選び、その理由を発注者や施工者へ説明する場面があります。
製品がどのようにつくられ、なぜこの仕様になっているのかまで理解していれば、単に数字を比べるだけではなく、その建物に合う理由をより具体的にお伝えできます。
今回の見学は、製品を選ぶときの判断と説明を、もう一段深める機会になりました。
用途による設備の違いは、こちらの記事でご紹介しています。
まとめ
普段はできあがった製品として向き合っているものが、どのようにつくられ、どんな歴史を経てきたのかを知る一日になりました。貴重な機会をいただいたLIXILの皆さまに、あらためてお礼を申し上げます。
設備設計は、図面の中だけで完結する仕事ではありません。実際にものがつくられる現場を知り、使う方の暮らしや仕事を想像しながら、少しずつ判断の精度を上げていくものだと思っています。
今回の見学で得たことも、これからの設計に生かしていきます。


